被害予測を大きく上回り続ける、メキシコ湾原油流出の影響|株式・資産形成講座メルマガ

  2010/7/7(水)  
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被害予測を大きく上回り続ける、メキシコ湾原油流出の影響

みなさんは東シナ海で、中国が海底で天然ガスを掘っていることをご存じでしょうか?日本は領海を日本と中国の真ん中で引くことを主張し、中国側は、大陸棚を中国の領海であると主張しています。日本はこの領海の争いを国際機関にゆだねようとしていますが中国側はそれを拒否しています。

領有権の問題は別にあるとして、今日のお話は、仮にそこから原油が噴き出してしまったら一体どうなるかという話をしたいと思います。無論現時点ではそのガス田には原油は無い模様ですが、万一原油が吹き出たら、対馬海流と黒潮の流れに沿って、海底から吹き出す原油はあっという間に五島列島を襲い、沖縄の石垣島から北上して土佐や日本海側の海岸を真っ黒に汚染するでしょう。



そうした今まで全く考えられなかった事故が「現在進行中」なのです。これまで海底油田は安全だと言われていたことは事実無根であったため、オバマ大統領は憤激しています。

4月20日、米国南部ルイジアナ州沖合66キロメートルにあるディープウォーターホライズン石油掘削リグが爆発炎上し、原油が流出する事故がありました。



このリグはスイスのトランスオーシャン社の所有で、英国BPからの請け負いで2009年6月から海底掘削作業をしていました。工期は78日の予定だったのですが、この事故が起きた時にはすでに80日を経過しており、相当作業が遅れていたようです。一日約百万ドルのコスト増になっていたといいます。そのため技術者は、工事を急いだのでしょう。ガス抜きやセンタリングの装置、あるいは通常二重にする鋼管を一本だけで済ませました。

そのため、海底からガスが噴出し、それに引火して爆発したようです。 当初BPの発表では、一日1300バレル程度の原油の流出と説明していました。しかし日が経つにつれ、メキシコ湾には原油が浮かぶようになり、それがフロリダ半島に押し寄せました。

この事故の背景には、世界各地で産油国の石油資源が国有化され、締め出された欧米石油資本が、アメリカの海底油田などに群がったという事情があります。

事故から1カ月後の調査では、総流出量は、26~54万バレルと、1989年にアラスカ沖で座礁したタンカー、バルディズ号がもたらした26万バレルよりも多いとの見立てになりました。

現在では1日3万5千~7万バレル、つまり、一日に1100万リットルの原油が湧き出しているということになります。1日で22万台の車にガソリンを満タンにできる量ということですが、想像もつきません。

問題は、それがメキシコ湾流に乗って、カリブ海からフロリダ半島を回って大西洋に出ようとしているということです。BPは現在2隻の原油回収船を派遣し、毎日2万バレルを回収していますが、海底の蛇口はまだ止まっていません。深度1500mにあるので、セメントを流し込んで封鎖しようとしたり、箱を沈めて抑えようとしているようですが、今のところいずれも失敗しているそうです。



更に問題なのは、今年はハリケーンが異常に多いだろうと言われていることです。6月から11月のハリケーンシーズンに14~23個のストームが発生し、そのうち8~14個はハリケーンに成長し、中でも3~7個は巨大化すると米国気象庁は述べています。2005年にニューオリンズを襲った巨大ハリケーンカトリーナは、ちょうどこのリグの真上を通っています。ハリケーンが襲来すれば、リグそのものが崩壊する恐れがあり、また海上の原油を巻き上げて米国南部の穀倉地帯にばらまく恐れまで懸念されています。

原油価格は今のところこの問題に明白には反応していませんが、メキシコ湾は米国の原油生産の28.5%を占め、精油設備は米国内の半分がこの地区に密集しています。また原油輸入量の60%がニューオリンズ等の港から供給されています。そうした場所にハリケーンが来ただけでも原油価格は高騰するでしょうが、BPの石油リグに尽大な被害を及ぼせば、どこまで原油が高くなるかわかりません。

中長期的には、世界の政治家は海底油田の掘削を認可することに、二の足を踏み始めるでしょう。深海から原油が漏出すれば、環境破壊は手がつけられないからです。年間160億ドルの利益がある英国最大の企業BPでさえ、オバマ大統領に迫られ200億ドルの資金をプールするために数行の銀行から借り入れを起こし、同社の株価は暴落、格付けはBBBに6段階下落しています。ブラジルやイエメン、ベトナム、マレイシア沖の海底油田、あるいは、日本の東シナ海でも、もしそんな事故が起きれば、原油に汚染された漁業資源等をだれが補償するのでしょうか。

そうした意味でも、今回の事故は世界の石油生産にじわじわと影響を及ぼすでしょう。 従って原油価格は今後強いと見ることができます。



講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学 株式・資産形成講座講師
株式会社 コモディティー インテリジェンス 代表取締役社長
近藤 雅世

6月30日執筆
「金融リアルタイムライブ」の内容より抜粋し、一部再構成したものです
編集後記
 編集後記
事務局 一戸 グローバルマネー・ジャーナル第153号、いかがでしたでしょうか。

先日、知り合いの投資勉強会に参加した時のこと。

その日のテーマは『個人と長期分散投資』で、初学者も多かったことから、

「財務体質の健全な企業を選ぶこと」
「割安なタイミングで現物保有すること」
「日々の株価動向に踊らされないこと」
「配当などのインカムゲインもチェックすること」

などが口々に話されていました。

と、そのうちの一人がテーマ株(インパクトのあるニュースや話題で短期的に急上昇する株)の話をすると、それまで発言しなかったメンバーも含め、とたんに短期投資の話でひと盛り上がり。。

その後しっかりと長期分散に軌道修正はしたものの、「株投資をする方は、短期投資も好きな方が多いんだな」と実感しました。

皆さんも、ハイリスク投資はほどほどに。

来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

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