大手銀行は、受けた優遇措置を社会に還元するべき
大手銀行は国債相場の上昇で債券売却益が急増し、最終利益の合計は前年同期の2.8倍、6250億円に膨らみました。一方、証券会社は株式市況の低迷が響き、野村ホールディングスが8割の最終減益となるなど5社中3社が減益や赤字となっています。
大手銀行の最終利益合計は6000億円を超え、また四半期ベースでも大きな利益を計上するまでになりました。三菱UFJ、三井住友、みずほは四半期ベースで1000億円を軽く超える利益を出しています。
こうした数字を見て思うのは、大手銀行は公的資金の投入など、今まで受けてきた優遇に対する還元を社会に十分しているのかという疑問が沸いてきます。優遇措置のおかげもあり、利益を出せる体質になったにも関わらず、未だに貸し出しを増やすでもなく、不動産関連で抱えている債務を消し去ることしか頭にないように思えます。
銀行の本来的な意味での大きな役割である「預金」「貸し出し」「決済」という3つの機能を十分果たしておらず、温々と自らの利益を確保しているのはいい加減にやめさせるべきだと私は思います。
●やりたいことを全部できる老後の人生設計を
東京スター銀行は利用者の自宅を担保に老後資金を融資する「リバースモーゲージ」について、従来は一戸建てしか対象にしていなかった担保に今月からマンションを加えると報じました。融資限度額はマンションの評価額の5割程度とする見通しで、上限は5000万円。
担保の対象を広げて利用者の拡大を目指す考えです。
この考え方は、非常に意味があると私は感じます。マンションにも1戸建てと同様に市場価格は存在していましたが、これまではそれを担保にして融資を受けることが出来ませんでした。ゆえに、例えば1億円の市場価格のマンションを保有していたとしても、それだけではそこから何もお金を生むことはありませんでした。
それがマンションの市場価格の5割程度、上限5000万円まで融資として「前借り」できることになると、1億円のマンションの支払いが終わっていたなら、それを担保にして「5000万円」のお金を生み出すことが出来ます。
こうして生み出された5000万円を使って、死ぬ前に行きたいところに行き、やりたいと思うことは出来る限りやって欲しいと私は思います。そして、自分が死んだら1億円のマンションは東京スター銀行の手に渡ることになりますが、これも良いことでしょう。
今後、日本では「年金」を当てにすることは難しいかもしれません。率直に言うと、今の年金制度及びそれに関わっている人は信用できないとさえ思います。
昔、今の年金制度についてアドバイスをしていた大学教授の話を聞いたことがあります。彼は何の根拠もなく「給料が4%、人口が2%ずつ毎年伸びるので、年金制度は大丈夫だ」と主張していました。私はその根拠はどこにあるのか問い質し、事実の数字はそうなっていないと指摘しました。
政府はこうした外部の「識者」と呼ばれる人たちを上手に利用します。何か問題があっても外部の識者の意見を聞いた上での判断という「エクスキューズ」を用意します。年金制度もまさにその代表例です。
制度の根本とそれに関わる人達に大きな問題があるのですから、日本の年金に期待することがいかに厳しいか理解できると思います。
年金に依存することなく自らの老後の人生設計を考えるとなると、今回のリバースモーゲージの制度は活用する価値があります。確かに当人が死んだら資産のマンションはなくなってしまいますが、「死ぬ時には資産ゼロ」というのは非常にシンプルで分かりやすいと私は思います。それよりも、死ぬ前に自分がやりたいことを出来る限りやっておく、それが実現できる可能性が高くなるという点に大きな意味があると感じます。
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