●商品(コモディティ)価格の動きを探る
ギリシャ国会は155票対136票で緊縮財政法案を可決し、7月15日の国債償還資金は120億ユーロの第5次融資が欧州財務相会議で承認されたので、何とか手当て出来ました。昨年5月にEUとIMFが融資を決めた1100億ユーロは既に650億ユーロが実行され、残りは450億ユーロで、第6次融資は9月ですが、これだけでは足りない模様で、更に1000~1400億ユーロが今後の課題となっています。
それに対し民間負担を主張するドイツやIMFに対してフランス金融機関は30年債への借り換えを提案、これがボランタリーかどうかを巡って格付け会社がデフォルトと認定するかどうかが焦点となっています。ギリシャ問題は、後に控えるポルトガルやイタリア、スペイン同様、欧州に根深い金融不安を巻き起こしそうで、その意味では、金価格はまだ上がると言って良いでしょう。
6月30日シカゴトウモロコシ価格は一日で70セント安という過去最大の記録的な急落となりました。これは、USDA(米国農務省)が公表した作付面積が予想外に多く、また6月1日時点のトウモロコシ在庫量も予想以上に多かったからです。しかし、これは一過性のサプライズだと思います。
問題はこれからの天候で、天候次第では再び価格は上がる可能性はありますが、逆に雨が降れば価格は下がることもあるでしょう。6月1日の在庫量は思った程少なくなかったという程度で、それでも歴史的に言えば少ない在庫量なので、天候に敏感に影響されるトウモロコシ価格だと思われます。ここ数週間の米国の天候は注目されます。
オバマ大統領は、来年の総選挙を意識してか、インフレを極端に嫌っているようです。原油価格はそれほど上がっていなかったのに、戦略在庫放出という奥の手を使いました。実態的には0.2%程度の影響しかなく、そうでなくとも在庫を消費して今年の原油需給は成り立つ状況ですから、6000万バレル程度の在庫放出は心理的影響以外の何物でもないでしょう。そんなことをしなくても原油価格はDullだったのに、OPEC総会でサウジアラビアに叛旗を翻したイランやベネズエラに対する報復でしょうか。
ファンドの建て玉は、全体的に商品から離脱しています。ファンドのネット買い残と相関関係の深い商品を探ってみましたが、今年の1月~6月の間で、19品目(為替が三つ入っている)中、5品目がファンドのネット買い残と価格の間に0.8以上の強い相関関係があり、0.7以上だと8品目ありました。
これから分かったのは、ファンドが動かしていた商品と、一般大衆投資家が動かしていた商品が分かれるということです。後者は、銀、コーヒー、ガソリン、灯油等です。ファンドは全く動いていないのに、価格が動いたということです。
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