●【国内GDP】 4―6月期のGDP前期比0.3%減
今年度の日本のGDPはプラスという予想が多く発表されていますが、ここで3期連続マイナスということはプラスになるのもあやしいという感じがします。年率換算の成長率をグラフで見るとやはりここに来て下がってきています。
実質のグラフで見てもリーマンショックの後40兆円以上落ちて、その後回復したかと思っていたところに、東日本大震災があって、また落ちてきてしまいました。日本のGDPはグラフで見ると分かりますが、520兆円は超えていますが、540兆円には届かなかったという水準です。
ただし、円が強くなっているので、ドル換算すると伸びたように見え、外から見ると日本の成長率は悪くないと見られているわけです。しかし円ベースではこうして下がっているので、我々から見るとやはり良くないということになります。
項目別では、輸出が相当派手に落ちてきて、設備投資は余り伸びていません。本当はここで復興需要でもっと設備投資が伸びないといけないわけですが、あまり伸びていません。また、民間最終消費支出も伸びず、はり付いた形のグラフになっています。
ということで、輸出だけが乱高下していて、大きく落ちてしまいました。今は少し回復してきているので、これで持ち直す可能性はありますが、輸出が日本のGDPの足を引っ張る状況になっているのが現状です。
●ブラジル関連の投信運用が急速悪化
ブラジル経済はルーラ大統領の最後の頃に非常に良くなって、皆でそれ行けということで、投信、インデックス物が人気を集めてきました。しかし、ボペスパ指数を見ると、今年に入ってからはコンスタントに下がってきています。まだリーマンショックの後ほどの大きな下げではありませんが、かなり下げ基調になっています。
通貨レアルが高くなり、輸出が振るわないということもありますが、そうしたことでレアルが少し下がってきました。この両方をかけ算してみると、投信に入れていた人たちは、通貨が少し弱くなったということと、株式市場が10%くらい落ちたということで、投信の業績が悪くなって来ているというわけです。
ただし、何年も前に入れた人から見ると、まだ非常にいい成績のはずです。2009年に入れた人はリーマンショックで落ちた後に戻ったのですごくいいわけです。しかし一方、去年の今頃、ピークで入れた人から見ると、1割から1割5分落ちていることから、急に今ブラジル投資は少し待った方がいいということになってきているのです。
まだ危機的状況ではありませんが、大統領も変わり、ブラジルのいろいろな国内事情、犯罪などの問題があり、ブラジルは少しクエスチョンマークの時期で、それいけどんどんという時代ではなくなってきているというわけです。
●買収後運営が不調に陥る案件相次ぎ ~中国企業による海外資源買収~
こういうことを英語では、welcome to the club といいます。つまり、われわれはそれをずっとやって学んできた、海外の買収というのは上手く行かないことも多いのだということを、中国もようやく学んでくれたのかという感じです。我々は中国警戒論で世界中の資源を買い尽くすと言っていたが、中国も日本など他の国と同様に一勝一敗か一勝二敗でやってくれるということならほっとする、ということでしょう。
地図で見ると、買ったけれども動かない、3600億円で取得しても生産見合わせなどというものもあります。やはり海外投資というのは学習が必要なので、中国には授業料を高く払っていただく必要があるのだと思います。かつて日本も派手にやったことです。
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