ギリシャ財政再建策とアメリカ雇用対策|株式・資産形成講座メルマガ

  2011/9/27(火)  
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本文タイトル
『ギリシャ財政再建策とアメリカ雇用対策』

●財政赤字削減へ 追加再建策を発表 ~ギリシャ政府~

 ギリシャは明日の日本と思って見ていると、やはり、歳出削減25%というのはどこの国でも今要求されていることで、日本も当然同じだと思います。ギリシャは、増税もかなり厳しいですが、これがないとヨーロッパ諸国から制裁を受ける、あるいは助けてもらえなくなり、国が破綻する状況です。

 9月いっぱいまでが山だと思いますが、ギリシャがユーロ圏に残れるかどうかという問題がぎりぎりのところまできており、ヨーロッパ全体が試されているという局面です。ただ、ゼーリック総裁が「問題に向き合わない欧州は無責任だ」と発言していますが、こんなことを言われるのは心外です。向き合ってもそれがなかなか難しいというのが現実であり、ではアメリカは財政問題に向き合っているのかと思います。私はヨーロッパを非常に尊敬しているし、よくやっていると感じているので、こんなことを言うとはよほど無神経な人だと思います。


 10年債の利回り推移を見ると、ギリシャはすでに20%以上で、相当なプレミアムを付けないと誰も買わない状況です。おそらくイタリアが今週あたり要注意圏に入ってくると思われます。スペインは小休止で、リスクの順序でいくと、イタリアがポルトガルを抜くかもしれません。ベルルスコーニ首相のリーダーシップは地に落ちていますし、さらに政府専用機で職業女性を乗せているという会話が盗聴されていたなどというスキャンダルが発覚しています。

 また、銀行も応分の負担を求められていますが、与信残高を見るとフランスの銀行がイタリアに貸し込みすぎているのがわかります。ギリシャだけだった場合は何とかなると思いますが、イタリアがおかしくなってきた時には、フランスもドイツも枕を並べてという状況になってしまいます。どこの国がどこに多く貸し込んでいるかという関係を良く把握しておく必要があります。

 日本やアメリカは国の規模に対してそれほど貸し込んでいないので、ユーロ危機というのはヨーロッパの中のそれぞれの国と、そこに貸し込んでいるヨーロッパの中央銀行、また各有力銀行がおかしくなっているわけです。さらに今度はUBSの不祥事があり、ダブルノックアウトという状況です。


●雇用対策の財源 富裕層増税で賄う方針 ~米政府~

 アメリカの雇用はおそらく増えないと思います。失業率の推移を見ると9%台が続いていて、オバマ大統領になってから2年間、何ら変化していません。対前月比の増減を見ても、あまり大きな動きは見られません。ブッシュ大統領の最後のところで雇用が減りましたが、オバマ大統領になってからも改善はないわけです。


 こういう大統領は再任されることはまずないと考えられます。そこで、来年の大統領選に向けて、オバマ大統領がケインズ的な、いわゆる公共需要を政府の金で作り、それで雇用を作ってみても上手く行かないでしょう。そして、金利を今のように低くしていると、ドルというお金が全部ドルキャリーで海外に行ってしまい、新興国に金が流れ、雇用も流れるという悪循環です。

 ですからアメリカもケインズ経済を止めて、金利を高くして、世界中から金が来るようにするという、今のブラジルのようなことをしないといけないと思います。しかし、社会主義者で大きな政府派のオバマ大統領や、日本の今の民主党には、そういう発想がないということが悲しいところです。


●東電賠償問題と中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)を巡る動き

 東京電力が破綻すれば、当然債権者は債権放棄を迫られます。ですが、銀行は国が原子力損害賠償支援機構法で東京電力を救おうと言ったので安心して金を貸したのだから、債権放棄は全く想定していないとしています。原子力損害賠償支援機構法を作った前の経産大臣らも含めて、本当は東京電力をどうしようとしているのかを、もっと国民に説明するべきだと思います。

 それから、賠償の請求を始めたところ、何十ページもあり非常に記載が大変で住民の不満が高まり、今回の原子炉の所在地にあたる双葉町の町長が、これを止めるよう要請しているということです。ここで、手ぐすねを引いているのが弁護士です。私がやりましょう、何でもいいから持ってきて下さいと、ちょうど上限金利の問題が一巡して、これから稼ぐネタを探していたところで、弁護士がこれから暗躍しそうです。

 しかし、この賠償制度に基づいてやっていくと、私の想定では、月1兆円の賠償をすることになり、一年経てば12兆円、原子力損害賠償支援機構法によって果てしない国民負担がくることになります。


 中小企業金融円滑化法=モラトリアム法によって40兆円くらいに銀行の貸し付けが増えましたが、これには金融庁が破綻懸念先を正常先として分類するとして、不良債権比率が大きく減少した経緯があります。実は、もともと一年延長されていたこの法律が、野田首相になって来年3月で終わりになるかもしれません。

 そうすると、今まで貸していて返す力のない企業は、要注意先や破綻懸念先となり、銀行としては50%、75%積み増す必要が出てきます。それで今期中に処分してしまおうという動きが急に出てきているようです。

 今までのんびり構えていた銀行が、差し押さえている不動産物件などをいくらでもいいから買ってくれと、お客さんが破綻しようが構わないという姿勢で急に売り急いでいるのです。私のところにもいくつか案件がきていますが、この2週間、野田首相になってから、一斉に動き出しています。

 おそらくモラトリアム法は、亀井氏の力が弱まるに連れて終了になるのではないかと思われます。裏を返すと、貸し付けは40兆円という規模ですから、大きな問題となりそうです。


講師紹介
大前研一
ビジネス・ブレークスルー大学 株式・資産形成講座講師
学長

大前 研一

9月18日撮影
「大前研一ライブ」より抜粋し、一部再構成したものです。


編集後記
 編集後記

グローバルマネー・ジャーナル第211号、いかがでしたでしょうか。

経済情勢を踏まえ、資産運用・形成していくためにご活用ください。

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それでは、来週のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

株式・資産形成講座
加藤

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