大前研一の株式・資産形成講座メールマガジン   2011/11/24(木)  
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本文タイトル
『イタリア、フランス、ドイツの実情 欧州問題を探る』

●イタリア国債価格が急落 金利は一時7%超 ~9日・欧州金融市場~

 イタリアではモンティ政権が発足しました。10年債利回り推移のグラフを見ると、ギリシャは完全に破綻し、50%の国債棒引きということで実質的にはデフォルトしてしまいました。ポルトガルとアイルランドは似たような状況で低迷していますが、アイルランドは最近少し落ち着いてきています。

 そしてイタリアが急激に利回りが上昇し、自分で資金調達ができる限界と言われている7%を一時超えました。このことで、次はイタリアかということになり、ベルルスコーニ首相が辞任に追い込まれました。


 ただ、少し考え方を変えてみると、イタリアはギリシャと比べてそれほどひどい状況ではないと思います。おそらくポルトガルやスペインの方が深刻だと思います。

 まず、イタリアは地下経済が大きいのです。昔からイタリア人は税金を払いたがらず、しかもほとんどのイタリア人、とくに男性は仕事を二つ持っていると言われています。会社から帰ってきて、夜家族と食事をすると、もう一つの仕事に出かけます。つまり、ものづくりなど、いろいろな特技を持っている人たちが、2つの仕事をしているのですが、その2つ目の仕事を申告しないわけです。

 イタリアにはそうした地下経済が3割以上あると言われているのです。ですから、GDPの120%の負債があるとはいえ、その3割を入れて130で割ると、イタリア国債の残高GDPに対しては92%となり、言われているほど深刻ではないということになります。

 もう一つは税金を集める効率の悪さです。まことしやかに言われるところでは、イタリアの場合には昔から税務署がやって来て、例えば10万リラ払えと言うと、本人は2万リラだと言い、交渉している間に3万5000リラでどうか、というようなやり方で、厳格な徴税ができない国だと言われています。しかも小規模企業は税制的に優遇されているので、わざわざ会社を小さくして税金をとられないようにするケースも多いのです。

 従って、徴税機構を改善し、地下に潜っている部分を引っ張りだせば、イタリア経済は意外にしっかりしているのではないかと思います。過去にも、ロシアのプーチン改革では巨大な地下経済に手を入れて、個人所得税をフラットタックス13%に設定し、全部表に出しました。

 インドネシアも、刀狩りのように地下に隠しているものを全部今年中に出しなさいと脅して税収が倍になりました。地下経済が全て出た上で状況が悪い国と、イタリアのような国は分けて考える必要があるのだと思います。イタリアの場合には地下経済を直すことが重要で実態はあまり心配していません。大騒ぎをしていますが、ヨーロッパのリーダーの人たちはむしろベルルスコーニを追放したかったのだと思います。


●フランス財政/年金改革と増税で約7500億円の赤字を削減へ
 ドイツ経済/9月の鉱工業生産指数が前月比で2.7%低下


 米格付け会社S&Pが、フランス国債の格付け引き下げを知らせるメールを「誤送信」したとされていますが、おそらく誤送信ではなく、そういうものを準備して待っていたのでしょう。S&Pが何も用のない文章を用意しているわけはないので、市場がパニックを起こしたのを見て、誤送信としたのではないかと思います。

 フランスはドイツとともにギリシャやイタリアの状況改善を強く求めていますが、フランスまでが財政悪化が深刻という事態になると、ヨーロッパ全体の崩壊につながるので、この「誤送信」によって市場に緊張が走りました。

 実際の経済をデータで見ると、EUの国々はそろって来年の実質経済成長率は今年より下がると予測しています。ドイツは今年の予測2.9%が来年は0.8%になり、フランスも0.6%の見通しとしています。スペインはむしろ高く0.7%、イタリアは0になるかという水準です。また財政赤字(対GDP比)は、ヨーロッパの規律では3%以内とされていますが、フランスとスペインは基準を満たしていません。イタリアは2.3%としていますが、守れない可能性もあります。


 ただ、先ほど述べたように隠れ経済を出してしまえば可能だと思います。そして債務残高(対GDP比)はイタリアが120%ですが、これも隠れたGDPを表に出せば92%になります。しかしいずれの国もマーストリヒト条約違反で、累積が60%を超えては行けないことになっていますが、全部の国が超えてしまっています。ただドイツは税収が豊富になっていますので、改善していくチャンスではあります。

 欧州の中で唯一強さを示してきたドイツ経済ですが、9月の鉱工業生産指数は前月比2.7%低下となり、勢いが急速に衰えてきています。ドイツ経済はEU圏内での交易が非常に増えていて、圏外への交易はむしろ少ないので、元々調子が良くないスペイン、ポルトガルに加えて、ギリシャ、イタリア、ここに来てフランスもかという欧州諸国の経済状況悪化は、ドイツにとっても減速の原因になりかねません。

 特に、ギリシャ問題、イタリア問題が本格化した9月以降、一部の経済指標が急激に落ちてきているので、もしかしたらドイツ経済も急減速ということもあり得るかも知れません。あと1?2ヵ月経ってみないとはっきりわかりませんが、ドイツ経済が強いことは疑いないものの、数ヶ月前に言われていたようにドイツだけが高い空を飛んでいるという状況ではなくなってきたと言えそうです。


講師紹介
内藤眞弓
ビジネス・ブレークスルー大学 株式・資産形成講座
学長


大前 研一


11月13日撮影、大前研一ライブより抜粋してご紹介しております。
編集後記
 編集後記

グローバルマネー・ジャーナル第219号、いかがでしたでしょうか。

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加藤

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