2012/07/11(水)「EU首脳会議の決定(大前研一)」資産形成力養成講座

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EU首脳会議の決定(大前研一)

EU首脳会議 銀行監督一元化など決定

 

 先月末に開かれたEU首脳会議では、ついにドイツのメルケル首相は追い込まれたと感じます。会議は延々15時間も続き、明け方に眠い目をこすりながらメルケル独首相がついに妥協しました。イタリアのマリオ・モンティ首相は圧倒的な強さでした。今回の会議はモンティ首相の影響が非常に強く、彼は学者なのでEUの問題とマーケットの要求をよくわかっています。メルケル独首相も自国に帰ってからの演説で、やはりマーケットに押し込まれて他に方法はなかったと説明していました。

 結果的にはイタリアに加えフランス、スペインの主導だったのですが、今までのヨーロッパの結束はフランスとドイツが中心的な役割を担っていました。フランスのオランド大統領は成長戦略論者であり、それに対してモンティ伊首相は厳しいコストカット戦略だったわけですが、どういうわけかフランスとスペインがこれに追随したのです。

 しかし、これだけ経済学の知識に差があるとまさにモンティ首相の独壇場です。また、ヨーロッパ中央銀行にはドラギ総裁という人がいて、彼もイタリア人で学者(MITモディリアーニ学派)です。こういった人たちがやはり強いのです。こういう状況の中、マーケットに睨まれてユーロが売り込まれ、一気にスペイン、イタリア辺りがぶっ飛んでしまうという危険性があったので、メルケル独首相は妥当な妥協をしたと思います。

 今回の合意内容は、ESM(ヨーロッパ安定メカニズム)が銀行を救済するというものです。このESMの仕掛けは、従来は政府にお金を貸し政府が自国の銀行を救済したのですが、これを止めてESMが直接銀行にお金を注入します。そのかわり銀行の監査はヨーロッパがやるというものです。銀行監査そのものはヨーロッパ中央銀行に一元化するわけです。

 そして成長、雇用を促進するため、今後皆で力を合わせて1200億ユーロを投入して労働市場を開拓し、若年の雇用をつくろうというものです。また通貨のみでなく、財政統合と予算などの政治統合まで進める工程表を今年中に作ることにも合意しました。また、スペインにはEFSF(欧州金融安定基金)とESMによる融資はするが、民間債権者よりも上位となるような優先弁済権はつけないとしています。

 15時間もの話し合いでいろいろなことを議論したのだと思いますが、最後は一歩進んでしまい、ESMが直接国を介在せずに銀行を救済して、そのかわりヨーロッパの主要銀行はヨーロッパ中央銀行の監査を受けることになったわけです。すなわち、ヨーロッパ中央銀行とヨーロッパのそれぞれの銀行は日銀と地方銀行のような関係になったということです。これは大きな進歩です。

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 今回メルケル独首相は最後まで抵抗しましたが、モンティ伊首相の仕掛けによって押し切られました。今回はヨーロッパ共通債は実現しませんでしたが、次回はおそらく、メルケル独首相もこの共通債に合意するところまで押し込まれるのではないかと見ています。

 マーケットを見ると、今回の合意を受けて株式市場は非常に好意的な反応を示し、ユーロもややドルに対しても強くなりました。

 その後、この会議の結果をメルケル独首相はすぐに自国に持ち帰りました。明け方まで首脳会議があったものの、帰国後すぐにドイツの上下院で協議しました。当然負けてきたと突っ込まれましたが、「後戻りをしないことを示す前向きな措置」だとして、上下院ともその日のうちに条約を批准させました。これはドイツの立派なところだと思います。

 ドイツの与野党はメルケル批判をしたものの、負けて帰って何事だとただ反対するのではなく、最終的にどちらかといわれた時にマーケットに睨まれる中、ドイツの意識統一ができなかったためにスペインその他がぶっ飛んでしまうとなると責任は重いと判断したのです。メルケル首相は苦しい言い訳をしていたとも言えますが、確かに彼女の言う通り後戻りしないことを示すものです。後戻りしないためにESMができたのだと、直接銀行援助をすることがフランクフルト(ヨーロッパ中央銀行)の役割になるのだとはっきり示したのです。


イタリア労働法改正案 モンティ首相 規制緩和策の目玉

 

 一方イタリアでは、モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行に最大20億ユーロの公的資金注入を決めました。今回の条約でイタリア政府が支援する必要はなくなったのですが、首脳会談の直前だったので間に合わず、政府による支援を決めたわけです。

 また、モンティ首相は労働改革も進めています。業績悪化を理由とした解雇を認める労働法改正案をイタリア下院が承認しました。これは、信じられないほどの大きな成果です。モンティ首相はこれがなければイタリアは産業が成り立たないということで、これに賭けていたと思われます。

 イタリアでは正社員として雇用した場合、基本的に解雇ができません。解雇して裁判所に訴えられると、職に復帰させるよう命じられることが圧倒的に多いのです。そこで企業は正規採用をしなくなり、若人が非正規雇用に流れるという悪循環になっているのです。またアメリカでも同様の傾向がありますが、いわゆる産業ごとの組合があり、業界が調子が悪いので、あるいは業界内でも自分の企業が調子が悪いので待遇を変えたいと言っても、協約により認められないのです。

 さらに従業員15人以下の場合には解雇がある程度柔軟にできるので、イタリアの経営者は従業員を15人以下に留めようとし成長志向がないのです。一方これがイタリアの地場産業の強さにもつながっているのですが、同時に国際競争に耐えるのかどうかというところが非常に大きな問題なのです。ですからイタリアの大企業はみな地獄を見てきているのです。

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 イタリアでは25歳未満の失業率が35%に上っています。解雇ができないので全体としては失業率はなかなか急には上昇せず全体の失業率は10%に止まっていますが、25歳未満の人たちにはますます雇用チャンスがないのが現状です。さらに生まれた人が学校を出れば労働市場に入ってきてしまうので、この3、4年の間に若年失業率は10%以上悪化しているという悲惨な結果なのです。

 今回の労働改革で、モンティ首相は大勝利を収めたと言えるでしょう。


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大前 研一

ビジネス・ブレークスルー大学
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大前 研一

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