2013/06/26(水)「日経平均下落の本質を探る(大前研一)」資産形成力養成講座

表示されない方はこちらから
大前研一学長総監修 資産形成力養成講座 グローバル・マネー・ジャーナル 「最新・最強・最高」クオリティの金融情報とデータ!

第298回目発行!資産形成力養成講座メルマガです。

メルマガをご覧の皆様、こんにちは!
ビジネス・ブレークスルー 資産形成力養成講座 事務局の加藤です。
このメルマガでは、皆さんの資産形成に役立つ情報を、大前研一ならびにプロとして活躍している 一流講師陣の視点から、毎週リアルタイムにお届けしていきます。今回は金融リアルタイムライブよりコンテンツを一部抜粋してお届けいたします。資産形成を実現するためのとっておき情報を、最後までどうぞご覧ください。

大前研一
 

【2013年8月開講生募集中! 7月26日(金)15時まで!】

中国経済の課題が浮き彫りになってきました。リスクマネーの縮小と共に調整を続ける世界市場。米経済の復活と共に強さを取り戻せるか? 2%の経済成長にコミットする政策の本質、行方とは? 経済の流れを理解した資産運用実践スキルを学びます。また、資産運用にはリスクはつきもの。リターンの追求と同時にリスクコントロールを行う実践法を学んでいきます。欧米で学ばれ続けている資産運用の基礎を徹底的に学び、結果を出せる資産形成力を身につける、資産形成力養成講座!

大人気セミナー残席6席! 7月27日(土)東京・秋葉原で「世界経済の今・今後の展望を探る」セミナーを開催!

詳しくはこちら

 

日経平均下落の本質を探る(大前研一)

13日 日経平均が一時870円安、新興国の株式・債券・通貨同時安で

 

 13日の日経平均株価は、下げ幅が一時今年2番目となる870円を超え、円相場は14日、一時1ドル93円台と、4月4日以来の水準まで上昇しました。新興国で、株式、債券、通貨の同時安が進み、投資家のリスク回避姿勢が強まったことが背景にあり、安全志向の資金は債券にも向かい、長期金利が1ヶ月ぶりの水準に低下しました。

130626_1.jpg


 新聞やテレビの報道でいろいろな説明をする人がいますが、全部間違っています。アメリカのQE3の終了に神経質になっていると説明されていますが、もしそうであり、安倍・黒田両氏の経済運営が評価されているならばお金は日本に向かうはずなのです。また、新興国の株式・債券が同時安ならば、それもやはり日本に向かうはずなのです。つまり、今回の下げは日本の問題によって売られていると見るのが正しいでしょう。その理由は基本的には安倍、黒田両氏による厚化粧が剥げ、就中、成長戦略の中身がないことが明らかになり、お金だけで勝負しようとしていることについての評価が非常に低くなってきているからです。

 安倍、黒田両氏の政策はこれ以上何も出てこないのではないかということがポイントなのです。新興国のせいでもなければ、アメリカのマーケットにつられているわけでもありません。今までのお金の動きから見るとアメリカがおかしくなればなるほど日本にお金がきます。逆に日本がおかしくなればアメリカにお金が向かいます。お金は国境をまたいでより良い所に行くわけですから当然です。今回のように経済新聞や経済番組を鵜呑みにすると、経済がよりわからなくなるのです。

 ヘッジファンドの人たちが私の所にも相談にやってきますが、彼らは本格的な規制緩和、規制撤廃、本格的な改革を、日本がどこまでやる覚悟があるのかということを問題にしています。本格的な改革はないことがはっきりしたので、失望により離れていっているわけです。日本の新聞などは、痛みを伴う改革が問われるのはこれからだといった論調ですが、そうではなく、ここまでに痛みを伴うことをやっていなければいけないのです。支持率が6割7割あっても参議院選があるからやらないということは、いつまでたってもやらないのです。

 為替は黒田総裁の本格的な操作が始まる前に円高になり、株価も大きく下落。10年国債の利回りも高止まりしている状況です。投資マネーを動かすヘッジファンドは去年の11月安部政権ができることになり、期待感から買い始めました。リスクを取って買いに行きましたが、安倍総理は期待通りの動きで、世界中から資金が向かってきました。しかし今は、日本もリスクが非常に大きくなりリスク回避の動きが出てきたわけです。ロシア危機の時には、債券市場で下手なものにかけてしまい逃げ場がなくなり、ノーベル経済学賞を取ったような人でもリスクの分析ができなかったと笑いものになりましたが、今、同じ状況になってきています。ヘッジファンドも非常に自信がなくなり、リスクを避け、投資対象は米国債くらいしかないというところまで来ているのです。


物価連動国債を10月発行へ ~財務省~

 

 財務省は14日、10月をめどに約5年ぶりに物価連動国債の発行を再開する方針を明らかにしました。今年度は合計で6,000億円を2回程度に分けて発行する方針で、物価が下落しても元本割れにならない商品設計にすることで幅広い投資家に購入を促し、国債の安定消化につなげたい考えです。

 今心配なのは、黒田総裁の政策で2%を目指してやけっぱちになってお金をばらまいてしまい、2%のインフレにとどまらず、ハイパーインフレになってしまうことです。その場合は、インフレスライド債というのを出してくれるとありがたいです。インフレになり今の1万円の価値が5,000円しかなくなったとき、インフレスライドしたものを返してくれるなら安心できます。しかし、国は国債の借金を目減りさせるためにインフレに誘導しているのが本心なので、インフレにスライドした金額を返すのはいかがなものかと思うでしょう。

 今回発行が決まった物価連動国債は国民を騙すためのフェイントであり、私たちが望むものとは違います。われわれが望むのは、ハイパーインフレが起こったときにそれを償ってくれるものです。ハイパーインフレが起これば国は借金が大きく減るので、願ってもないことになります。今回はポイントがずれているかフェイントの悪巧みの行き過ぎかどちらかであり、これを見抜く力が大切です。


2040年の生産年齢人口 2010年比23%減、高齢者人口は50%増

 

 国土交通省が11日発表した首都圏白書によると、2040年時点の東京圏の生産年齢人口は2010年に比べ23%、550万人減少し、高齢者の人口は50パーセント増加する見通しが明らかになりました。これについて国土交通省は、空き家の増加や介護施設の不足が深刻になると分析、鉄道など公共交通網の維持も課題になると指摘しています。

 アベノミクスでは基本的に、人口減の問題、生産年齢人口の減少の問題については何も語っていません。実はこの問題が最大の問題であり、ちょうどその対極に一千兆円を超す借金があります。この借金を誰がどうやって返すのかを示さない限り、第二の矢である財政政策は片付かず、第三の矢の成長戦略も、人が減り続ける中、日本企業が成長することは難しいでしょう。日本においては人口問題が最大の問題であるという認識を持たないといけません。

130626_2.jpg


 グラフを見ても生産年齢人口が下がり、高齢者すなわち扶養される人口が増えてくることは明らかです。これを踏まえると、成長戦略に関する経営者アンケートがいかに能天気かよくわかります。

 日経新聞がまとめた主要企業の経営者に対するアンケート調査の結果によると、政府の成長戦略について一定の評価をすると回答したのは88%に達しました。また、安倍首相が秋にも検討する追加策に盛り込むべき政策では、思い切った法人減税を挙げる企業が95.4%にのぼりました。これを見ると、経営者がいかに国家のことを考えていないか、成長戦略が何かを考えていないかが分かります。税金を減らせという以外は何も意見がないということです。経営者一人ひとりに成長戦略をどうしたらいいか尋ねたら考えていないに違いありません。これは大きな問題で、自社の商品が売れるなら日本ではなくてもいいと考えていることが如実に表れています。これを批判的に捉えることもなく、よく記事にしたものだと思います。

 日本の財政問題については、6月10日週のビジネスウィークに記事が出ています。各国の負債をグラフで表し、イタリアでも横ばいに近く、アメリカも100%程度であるのに、日本の借金は200%を超える勢いで増え続けていることが示されています。そして、日本のGDPが世界全体のGDPに占める割合は、7%から2030年には4%、2060年には3%になるというグラフを示し、どのように借金を返すのかと論じました。成長戦略はもとより、財務戦略が全くないことから、奇跡が起きなければ無理だろうという内容です。

 結局、アベノミクスの化けの皮が剥がれている状況であり、これをひっくり返すには、例えば明確に移民を毎年70万人ずつ入れる、大都市の建築基準法をドラマチックに変えるなど、大胆な施策を入れるべきでしょう。成長戦略を考える人たちは、日本の現状についてもっと危機感を持ってあたるべきなのです。


講師紹介

大前 研一

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 学長

大前 研一

6月16日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。

詳しくはこちら

その他の記事を読む

中国はいずれ深刻な経済困難に陥る!?(武者陵司) 中国は景気が悪くなる恐れあり(近藤雅世)
Global Money Journal Editor's Note 編集後記

資産形成力養成講座 加藤

 

日本株式は現在調整中。世界情勢、世界の投資家の情報を的確につかみ、乗り越えていきたいですね。世界は日本をどのように見ているのか?世界のお金の流れをつかみ、結果の出る資産運用を実現していきましょう! また、物価連動国債も現在準備が進んでいるようです。個人が買えるようになるまでには時間がかかるようですが、要注目です。

大人気セミナー残席6席! 7月27日(土)東京・秋葉原で「世界経済の今・今後の展望を探る」セミナーを開催!
今週のグローバルマネー・ジャーナル、いかがでしたでしょうか。

資産形成力養成講座では、Facebookページでも金融にまつわる最新ニュースなどご紹介しております。ぜひこちらもチェックしてください。

日本株式を筆頭に上昇する先進国。一方伸び悩む新興国。世界経済は新しいフェーズに向かおうとしています。世界のお金の流れを学び、リターンを実現できる資産形成力を高めておく時期ではないでしょうか?

それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

 

グローバル・マネー・ジャーナル 【日経平均下落の本質を探る(大前研一)】の上部へ戻る

資産形成力養成講座 グローバル・マネー・ジャーナル 日経平均下落の本質を探る(大前研一)

大前研一の株式・資産形成オンライン通信制講座の資産形成力養成講座とは

資産形成力養成講座とは。大前研一学長総監修。世界経済の混乱の中、資産運用・形成の方法を学ぶ。FX為替・株式・投資信託・不動産・REIT・商品先物・債券・年金・保険・分散投資・海外投資など体系的に資産運用が学べる講座。ビジネス・ブレークスルー大学の公開講座。

※ このメールは、HTML形式でお送りしています。インターネットに接続した状態でご覧ください。
発行人 : ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ事務局
〒102-0084 東京都千代田区二番町3番地 麹町スクエア

配信先変更・配信停止 お問い合わせ 個人情報保護方針

Copyright (C) BUSINESS BREAKTHROUGH Inc. All Rights Reserved.

資産形成について少しでも知識を高めたい方はまずは無料講義体験へ。

  • 無料講義体験
  • 講座申込み