2013/08/28(水)「高成長続いても債務残高低下せず(大前研一)」資産形成力養成講座

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高成長続いても債務残高低下せず(大前研一)

高成長続いても債務残高低下せず ~内閣府試算~

 

 内閣府は8日、経済財政の中長期の試算をまとめました。現在5%の消費税率を予定通り10%まで引き上げても、20年度の国と地方の基礎的財政収支は、対GDP比で2%程度の赤字が残ると推計。借金に頼った政策運営から抜け出せないことが要因で、黒字化目標の達成にはさらなる収支改善努力が必要と指摘しています。

 また国の借金残高が1,000兆円を超えたとも発表されています。これは国民一人当たりにすると約792万円です。しかし、実際は4人家族とすると一家で3,000万円ほどの借金と同じで、返せるわけがないのです。

 こうした時期に消費税を上げることを回避しようという動きもあります。しかし、それよりもこの国がひっくり返り、突然死するようなリスクの高いことはせずに、財政規律について真面目に取り組まなければならないということを示すために、この段階で内閣府がこのような試算を出したのだと思います。谷垣氏の頃には2015年には基礎収支のバランスを取ると言い、民主党の頃には2020年にバランスを取るなどと言っていましたが、試算では2020年でも無理だということがわかったわけです。

 国際・借入金と政府保証債務現在高の推移を見ると、右肩上がりに上昇し1000兆円を超えてきています。ここから先は景気の良し悪しよりも日本国そのものがいわゆる国債破綻に追い込まれていくというプロセスになってくるでしょう。政治家は余計なことを言わず、余計な出費をせず、ひたすら財政規律というものを求めていかなければなりません。

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 今ここで日本がひっくり返れば、次の世代は就業人口が少なく、返すあてもなければおそらく返す気すら無いのだと思います。そうなると日本はギリシャ化してしまいますので、今回の試算のような数字がわかれば国民に提示し、判断を仰ぐのは大事なことです。

 ヨーロッパをみると消費税20%の国はたくさんありますが、日本人は世界でも有数の増税嫌いな国民です。しかし、法人税等を下げるとしても消費税については8%、10%と三党合意通りにやっていくことが大切であり、ここを逃すと、国は非常に急速に市場から制裁を受ける可能性が高いと思います。そうはならないという意見も多く聞かれますが、私はやはりここまで広がった借金、国家債務を埋める方法はないわけなので、何としても取り組んで行かなくてはならないと思います。

 世界の金利ですが、14日の債券市場でイギリス10年債利回りは一時2.6%台半ばと2011年10月末以来の水準に上昇し、ドイツ10年債も一時1.8%台前半と、今年6月末以来の水準に上昇しました。これにより日本と、アメリカやヨーロッパとの金利差が約2%に広がりました。

 今後リスクが高いのは、日本の債券を買っていても利回りが低いため、外債投資が急速に膨らむことです。すると日本の債券が売られ、利回りも上昇していくことになるのです。主要国と利回り推移を比較してみると、とりあえず日本の場合は落ち着いていますが、一旦上がり始めると非常に急速に上昇する可能性があります。

 黒田総裁の異次元緩和により、日銀が銀行の持つ国債を買い取っているので、銀行には国債を売ったキャッシュがあります。そこでどうしても外債を買わざるを得なくなり、結局日本国債を売った金で外債を買うという流れになるのです。とりあえず日銀が購入しているので債券価格は安定していますが、急に高金利になってきたときには日銀そのものが内部破壊しかねません。その意味ではかなりリスクの高い戦略を取っていると言わざるを得ません。国内投資家の状況を見ても、対外証券投資を急速に加速させている状況ですからしばらくは注意しておく必要があるでしょう。


東南アジア主要国で財政悪化懸念強まり

 

 日経新聞は、「インド中銀、通貨安対策が焦点」と題する記事を掲載しました。これはリーマンショックの3年前に危機の可能性を予言したことで知られるラグラム・ラジャン氏が9月にインド準備銀行の総裁に就任することを受け、物価高や景気減速の原因になっている通貨安の対策が当面の課題になると指摘しています。変調をきたす新興国経済の再生を占う意味でも、学会や国際機関で培った分析力と政策運営の指導力が試されると分析しています。

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 ECBヨーロッパ中央銀行のドラギ総裁と同様に、このダグラム・ラジャン氏もMIT学派です。純粋に分析してみるとサブプライムは破綻すると言い、当時は皆から批判を受けたわけですが、その後彼が正しいということがわかり、非常に名声のある人物です。祖国インドに戻り中央銀行総裁に就任ということですが、本当にやりきれるのかという気がします。インドの経常収支と為替相場の動向をみると、課題が山積みです。インドは経済原則だけでは動かない国であり、金融政策を打つのは難しいでしょう。収支はどんどん悪化していて、ルピーも非常に弱くなってきているので、結構大変な仕事を引き受けたと思います。

 マレーシアやタイなど東南アジアの主要国で財政悪化懸念が強まっています。これは、公共事業や補助金を増やして内需を下支えしてきた副作用として財政赤字が膨張しているもので、債務残高のグラフで見ると、フィリピンやインドネシアが改善していて、タイとマレーシアが若干上向きとなっています。最も深刻なマレーシアは、2012年の政府債務残高はGDP比55.5%と、急上昇しています。ただ、GDP比200%の日本に比べたらまだ良いと言えますし、まだ60%程度の水準であり、ヨーロッパの国々などと比較しても、まだ良い状況です。

 また、財務省がこのほどまとめた国際収支統計によると、1-6月の日本から海外への直接投資は5兆4,285億円と前年同期比で13%増加しました。中でもASEAN向けは、前年同期比4.2倍と上半期最高水準となった一方、中国向けは18%減少しました。中国からASEANへシフト、いわゆるリバランスの方向で日本企業が動いているのがよくわかります。ASEANへの投資は比較的日本は成功を納めています。いつまで続くかはわかりませんが、少なくとも中国が良い投資環境ではなくなってきていることがよく表れています。


ドイツ 成長見通し悪化の場合、予防的財政政策の必要性 ~IMF~

 

 IMFがまとめたドイツ経済に関する景気報告書によると、ドイツ政府が内需押上げに向けて財政政策を緩やかに緩和したことを評価する一方、成長見通しが悪化した場合には、予防的な財政政策を取る必要があると指摘しています。

 財政収支対GDP比は、ヨーロッパでは−3%を超えてはいけないのですが、ドイツの場合には一時、−4%まで行きました。それが今はほとんどトントンのところまで来ています。その意味で財政収支は極めて健全といえます。GDP成長率もヨーロッパの中では非常に優秀です。しかし、ドイツはこの首の皮1つでヨーロッパ全体を支えているわけです。

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 9月22日にドイツの総選挙があります。この結果によってまた大きく変わると思いますが、今のところメルケル氏が勝つだろうと言われています。メルケル氏が自由党、社会民主党、誰と組むのかというところが非常に重要ですが、今のところは社会民主党と組むのではないかと言われています。この選挙の結果によっては情勢が大きく変わってきますので、要注目です。


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大前 研一

ビジネス・ブレークスルー大学
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大前 研一

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資産形成力養成講座 加藤

 

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それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

 

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