2014/07/24(木)「トレンドの成長率、潜在成長率を分析(西岡純子)」資産形成力養成講座

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トレンドの成長率、潜在成長率を分析(西岡純子)

トレンドの成長率、潜在成長率を分析

 

 アベノミクスの三本の矢は、第一が金融政策、第二の矢が財政政策、第三の矢が成長戦略です。第一から第三の順に即効性も異なります。資料で示されているのは、国の潜在成長率です。成長率は毎四半期に内閣府が発表する年率何%と表現されるもの以外に、概念として労働や生産資本が平均的に稼働したときに何%が達成され得るのかという考え方のものがあります。

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 例えば、今後労働人口が減るということは、趨勢的に考えるとトレンドとして成長率は下がってくるはずです。また、設備投資が増えつつあるということは、一人当たりの生産性も上昇し、物を作る量が増えることから、成長率のトレンドは上がってくることが想定できます。このようにプラスマイナス両方の要素があり、それぞれの資本が平均的に稼働した場合、トレンドの成長率は何%伸びる力があるかを捉えたものが、潜在成長率です。

 過去の推移を見ると、バブル経済の時には潜在成長率は5%を超えていました。それが、バブル経済後にはその後処理や、本来ならばもっと物が作れる資産を圧縮し続けたことにより供給力が下がり、そのことが潜在成長率の低下となりました。そして1998年には一旦底打ちとなっています。それは国内初の金融システム不安が発生した時で、そのときの潜在成長率の水準が約1%です。それがその後、2005年頃にかけて回復してきました。

 2000年代の前半にはITバブルが起こり、それによりIT化が進んで生産性が回復しました。そして2001年の中国のWTO加盟を一つのきっかけとして、アジア経済がどんどんと回復しました。日本経済の実力もどんどんと上がってきたわけです。ところが、2000年代後半になると、金融危機によってトレンド成長率が再び低下してきました。期待成長が落ち込み、新規に設備投資をしている場合ではないというムードが広がったからです。大底を付けたのが2009年頃で、約0.2%という水準まで落ち込みました。日本経済の成長の実力は当時、0.2%ぐらいしかなかったのです。しかしその後やや回復し、0.6%程度に戻してきました。

 景気による押し上げや、金融政策による刺激策などはひとまず置いておき、企業の設備投資と労働市場で働く人口という要素だけで考えると、日本の実力としての成長率は0.6%程度だということであり、この数字はそれほど急激に変化するものではありません。問題は、この0.6%という水準を看過できるかということです。もし経済において、財政の問題に制約がないのであれば、究極のところ、日本のように所得水準が比較的高く、安全で平和で治安のよい経済においては、0%成長で全く問題はないはずです。


なぜ安倍政権や日銀はトレンド成長率が上昇しなくてはならないと考えるのか?

 

 ではなぜ、安倍政権や日本銀行はトレンド成長率が上昇しなくてはならないと考えているのかというと、2つの理由があると思います。一つは、人々が生活する上では、今日よりも明日さらに幸せになっていたいという根本的な欲求があるからということです。これは当然のことです。

 そしてもう一つは、日本が物事を考える上で財政制約が必ずあるということです。すなわち、財政赤字は依然としてGDP対比で9%近くあります。また債務残高はGDP対比で200%もあります。これを解消していかなければ、財政が破綻することにより日本のクレジットは大幅に悪化します。そうした制約があるので何が何でもトレンド成長率を上げることが必要ですが、労働人口を増やす、生産資本を増やすという時間のかかる変化をずっと待つよりは、目先はひとまずインフレ率を押し上げることによって時間稼ぎをしようというのが、今回のアベノミクスの発想になっているのです。

 0.6%しかないトレンド成長率について、その構成を見てみると、マイナスの方にはみ出してきているのが労働投入です。総人口1億2700万人が減り始めたのが2010年です。総人口が減り始めたのは2010年であるにも関わらず、なぜ90年代初頭から成長率を押し下げる方向に効いているのか疑問に思われるかも知れません。これには、労働参加率の低下と労働時間の減少が大きく関係しています。

 バブル経済崩壊直前、ひと月あたりの平均的な労働時間は約170時間でした。それが現在は135時間です。労働規制の強化、ワークシェアリングの増加など企業の戦略の変化によって労働時間が減ってきたことがまず一つ目の要素となりました。そして、1998年頃からは労働参加率が落ち始めます。さらに2010年からは総人口が減少し始めたことが新たな要素となりました。総人口の減少は今後も続き、政府資料によると現状のペースで行けば2060年段階で8700万人まで下がると言われています。現段階から何もしなければ、約4000万人減少し、高齢化もさらに深刻化します。

 潜在成長率を構成する労働投入の部分もさらにマイナス方向に作用し、合計の潜在成長率がマイナスに押し下げられる可能性もあります。先進国でありながら潜在成長率がマイナスという経済は聞いたことがありません。それでも人々が幸せならば問題はないのですが、日本は財政を改善していかなければならない前提条件があるので、潜在成長率の低下は何がなんでも避けなければならないのです。

 そのために安倍政権が集中して取り組んでいるのが、女性の活用と外国人労働者の受け入れ拡大です。女性の就業率は徐々に上がってきていることが確認されていますが、それだけではプラスにもっていくことは難しい状況です。外国人労働者の受け入れ拡大に期待が高まるわけですが、政府は受け入れ政策を移民政策とは別だとしていて、思い切った受け入れにも限界があると思われます。労働投入のマイナスを少しでも減らすには、人口を増やすか、労働参加率を上げるか、労働時間を増やすかしかありません。労働参加率を上げることは可能ですが、劇的に押し上げるほどにはいたりません。となると、今後はやはりどこまで移民政策に踏み込むことができるかにかかってくると言えます。

 労働投入を押し上げることが難しい場合、次の頼みの綱は資本投入です。これは、企業がどれだけ資本を蓄積し、それがどれだけ生産性の回復に繋がるかというものです。企業が新規の設備投資に積極的になると、一人当たりの生産性は上昇するので、結局は全要素生産性の回復にも繋がります。全要素生産性も現在低い水準に留まっていて、何か技術的な革新や産業革命的なものがない限り、劇的な変化は望めません。やはり着実に新規の設備投資を増やしていくことが、潜在成長率の低下を食い止める上で最低限必要な政策であると考えられます。総人口の減少を食い止めることができない以上、設備投資を国内で増やしていくことが重要になってくるのです。


講師紹介

西岡 純子

ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ講師
アール・ビー・エス証券会社 東京支店 リサーチ・ジャパン チーフエコノミスト

西岡 純子

7月13日に撮影した映像より一部ご紹介いたします。

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資産形成力養成講座 加藤

 

資産運用はインフレ経済下で特に重要になります。デフレ下では資産運用をしなくてもモノの価値が下がっていきますが、インフレ下ではモノの価格上昇を超える運用をしなければならないからです。資産運用は、株式・債券・為替・コモディティ・不動産など多岐に渡りますので、総合的な理解や考え方が求められます。世界標準の資産運用を学び、第一歩を踏み出してください!

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長期デフレを経験した日本。デフレに慣れ、インフレの想像がつきにくい方も多いかもしれません。しかし確実に、デフレ脱却に向けて動き出しています。インフレとはモノの価値が上昇する世の中。私たちはそうした物価上昇以上に持っている資産を高めていかないと生活力(購買力)を落としてしまうことになります。

金融機関など他人任せにするのではなく自ら設計することで、手数料などを考えると2%程度の利回りの差になることも多々あります。毎年2%の差は、例えば500万円運用している人にとって、10年で100万円以上の差になって現れます。欧米では学校教育で「お金」について学ぶ機会がありますが、日本ではほとんどありません。みなさんも、世界のお金の流れを学び、リターンを実現できる資産形成力を高めませんか?

それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

 

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