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IMF見通しにみるトランプ政権への不透明感とは?(田口美一)2017/09/20(水)

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今回のテーマ

IMF見通しにみるトランプ政権への不透明感とは?(田口美一)

トランプ政権発足前後に於ける各国の経済動向

 足元の金融市場では、為替市場で非常に大きな動きがありました。8月は思ったより動かないマーケットでしたが、9月に入ってまた動き出したという印象です。

 現在の状況を四点にまとめると、まず、株価は意外と強い動きで、特に新興国を中心に、続伸となっています。日本ではテレビ、新聞などで毎日報道されている、いわゆる北朝鮮問題、あるいは先般あったようなヨーロッパのテロの問題などがあるにも関わらず、株価は世界的に意外に強いというのが一点です。

 二点目は、トランプ政権が誕生して、特に米国金利、あるいは米国金利に影響を受けやすい国の金利、そして為替が、ともにドル高、ドル金利高という現象を起こしたわけですが、日が経つにつれて徐々に元の水準に戻り、2017年9月、トランプ大統領が政権を実際に取るということがわかってから10ヵ月強経ったところで、それ以前の水準にもどってきたということです。マーケット用語で言う、いってこいの形になってきたというのが今の特徴です。

 そして、三点目は、原油価格が2016年の非常に厳しい状況から一転、底打ちをして戻ってきたものが一服となりました。しかし9月に入り、テキサス、ヒューストンで、アメリカでは1000年に一度の確率とも言われる大洪水が起き、これによりシェールガスの産出量がかなり危機的な状況になるという見方が出始め、原油価格もさらにまた上昇してきているという状況で、この点も風雲急を告げています。

 四点目は、ヨーロッパの動きです。ヨーロッパは2016年のBrexit、イギリスがEUを離脱するということを決めてから、2017年はいよいよ本番、欧州大陸の大統領選などがあり、反EUの動きが大きなムーブメントになるという見方が台頭していました。

もっとも大きなイベントだったのがフランス総選挙で、ルペン氏が勝つのではと言われていましたが、ご存知のようにマクロン氏が、オランド氏の政権下にあったものが一旦離脱して、新しい党という形で出て勝利し、結果的には反EUの動きに歯止めをかけた形となりました。フランスとドイツの株価も徐々に戻ってきていたわけですが、これも8月終わりからややもたつき始め、リカバリーの動きが止まっているというのが現状です。

 こうした動きを数字で見ると、株価は年初来で世界全体の平均でも13.6%プラスと非常に高い水準となっています。その内、エマージングが22.7%、BRICsが22.8%と、それぞれ2割以上の上昇となっていて、ここが完全に世界平均を引っ張り上げていることがわかります。

 国で見ると、アジアが13%程度と高く、先進国ではアメリカが11%と抜きん出て良いパフォーマンスで、中国ももたもたしていたところから足元は年初から8.5%まで回復しているという現状です。9月1日現在の足元1ヵ月の数字を見ると、日本は厳しい展開になっていますが、いずれにしてもエマージング、BRICsといったところが高くなっているということが今年の特徴であると言えます。

 続いて金利について見てみます。トランプ政権が生まれる前の去年10月末と、年末の時点を比較した数字を見ると、アメリカは10年国債で62ベーシスポイントも上昇しています。それに引きずられるような形で、実はトルコやメキシコの金利も1%以上上昇しました。ところが、今年5月から9月の変化を見ると、金利は軒並み低下しています。

 特にブラジルはまた政治スキャンダルがあり、金利が上昇、株は売られ、通貨も売られるというトリプル安となりました。しかしこれも意外と早く復活し、足元では金利は大幅に低下しているのがわかります。極端に言うと、中国は、おそらく元安をストップさせようと誘導しているのだと思われますが、まだ金利は高いままで、ドイツが小高いほかは、軒並み下がっているというのが金利面から見たこのところの特徴と言えます。

 為替も、トランプ政権が出てきてからドル高でしたが、これもすっかり落ちてきて、9月の水準を5月と比べると、すべてドル安となっています。トランプ政権ができて、一旦ドル高に振れたものが、かなり剥落してしまったということです。むしろ、この間、ユーロが強くなっていることが印象的です。このように、金利も為替も、ともにいってこいの形になっているのです。

 為替は各国通貨で見てもわかりにくいので、FRBの出しているドルインデックスで見てみると、ピーク時より6%もドルが下がって、2015年半ばあたりの水準まで戻ってきています。要するに、強いドル復活と言いつつも、そうなるとアメリカの輸出メーカーが困るのではという懸念もあったわけですが、なんということはなく、ドルは一旦調整しているという展開なのです。

 原油は2016年から復活していたので、グラフを見るとやや下がってきたという印象ですが、9月に入りヒューストンの大洪水を受けて戻ってきているというところで、こちらも予断を許さない状況です。  ドイツとフランスの株価もグラフで見ると、いわゆる反EUの動きが止まったということで、フランス選挙のあたりで下げたところを乗り切って戻ってきたわけですが、トップを打ってからあまり良い調子ではなく、調整しているという動きとなっています。

 世界景気について、私はいつもIMFの見通しをベースラインとして使用しています。IMFの見通しは当たらないという識者の方もいらっしゃいますが、世界のトップのエコノミストの集団であるIMFが、定期的に見通しを立てて修正したり、内容をチェックしたりしているので、トレースするには一つの金融機関が出すレポートやメディアが出す景気予測よりも、安定性、一貫性があると思っています。

 そこで、7月末に出された最新のデータを見ると、アメリカを下方修正していることが一番大きな特徴です。内容としては、IMFのエコノミストたちは、トランプ大統領は当初言っていたほど財政支出しないのではないかという判断に傾いているというのが、下方修正の背景です。IMFがコメントでそう明言しているわけではなく、トランプ政権の財政支出の規模やタイミングについて不透明感が出てきたので下方修正したという言い方をしていますが、それほどしないのではという見方なのだろうと思います。

 数字としては、アメリカの成長率見通しを2017年、2018年、それぞれ0.2、0.4%下方修正しています。一方ユーロ圏についてはやや引き上げ、中国についても見通しを引き上げています。

 そして特徴的なのはやはり、新興国の回復期待を維持しているということです。中国の上方修正に加え、インドについては修正はしていないものの、成長率は7%台と、非常に高い見通しとしています。ブラジルについては下方修正もありますが、全体的に見ると、2016年に大きく下がったものが、二年かけて復活しているという姿がキープされているというのが大きなポイントであると言えるでしょう。

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金融経済アナリスト
前クレディ・スイス証券副会長
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 それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!

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