NY金価格は1150ドル前後で横ばいとなっており、米連邦準備制度理事会(FRB)の公開市場委員会(FOMC)でいつ利上げがされるかが大きな変動要因となっている。厳冬などの影響により第1四半期の米国GDP成長率は、年率換算で前期比0.2%増と、市場予想(1.0%増)を大きく下回った。米アトランタ地区連銀は、4月の米貿易赤字が予想以上に縮小したことを踏まえ、第2四半期の米経済成長率は1.1%になるとの見通しを示し、2%を予想するアナリストもいる。
米国の5月の雇用統計は、失業率が5.5%(予想は5.4%)に上昇したが、非農業部門雇用者数は28万人増加(予想は22.6万人増加)と予想以上であったため、こうした情勢を踏まえて、FRBは早ければ9月のFOMCで利上げを決定し、来年初旬に追加利上げを実施するとの観測が高まっている。米国の利上げは金価格の下落要因となり、こうした事前の利上げニュアンスがでるたびに金価格は下振れするだろう。
また、ドルは利上げを先取りする形で上昇しているが、ユーロ/ドルを見る限り、3月13日の1.046ユーロ/ドルを下値に、6月4日には1.138ユーロ/ドルと上昇機運を見せている。米国の景気回復と欧州圏の景気回復の競争であるが、OECDによれば、2015年のGDP成長率予想で上位20カ国の中に欧州圏諸国がアイスランド、アイルランド、ポーランド、ハンガリー、スロバキア共和国、スペイン、スウェーデン、英国と8カ国が2.4%以上の経済成長をすると予想しており、米国の2.0%を上回っている。ちなみにドイツは1.6%、フランスは1.1%、日本は0.7%、イタリアは0.6%である。
穀物価格は今のところ作付から生育が極めて順調に作業が進展しているため、このまま天候異変が無い限り豊作となる見込みである。ただ、南米チリ沖の海面水温は上昇しており、5月12日の気象庁によるエルニーニョ監視速報によれば、『エルニーニョ現象が発生しているとみられる。 昨年夏からエルニーニョ現象が発生しており、冬に一旦弱まった後、春に入ってから再び発達しているとみられる。』と述べられており、これが世界各地に今後どのような気象変化を及ぼすかは注目されるところである。
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