EU等との金融支援をめぐる交渉で、ギリシャが既存の債務を名目経済成長率に連動して金利を支払う新たな債券に交換する独自案を計画していることがわかりました。反緊縮路線を掲げて勝利したツィプラス新政権は、既存の枠組みでは交渉に応じない姿勢を強調しており、金融市場ではギリシャの財政不安が再燃しています。
一方、ECBはギリシャに対してはジャンクボンドであっても買い取ると言っていたのをやめました。つまりこの時点でECBは戦闘状態に入り、ギリシャには力で制裁するという流れになってきたのです。
ツィプラス政権は、もう命令には従わないとし、キプロスやロシアと手を組み、EUとの交渉についても自分たちの交渉条件を強く主張してヨーロッパ首脳陣を回りましたが、ヨーロッパ側は「甘えるな」とビシッとはね返しました。よって、ギリシャの国民も、自分たちが熱狂的に選んだツィプラス政権が、何の力もないと気づくでしょう。財務大臣も初めは能天気なことを言っていたものの、各国を回るうちにだんだんと顔がこわばり、結局成果はゼロで帰国したのです。ギリシャはこれにより後1ヵ月分しか資金がなくなり、いよいよ誰かがお金を注入してくれないと立ち行かなくなるところまで来ています。
さらに、ロシアがトルコ経由のエネルギー援助等でギリシャの支援をする要因があると言う情報が報道されていますが、ギリシャがEUを脱退して経済を立て直せるかと言うと、その際にはギリシャらしく、破綻した経済でも成り立っていくと考えています。トルコ経由でギリシャを援助するという事は難しいでしょう。
2000年以上の歴史に渡り、トルコとギリシャは領土を取ったり取られたりという関係でとても仲が悪く、特に最近ではキプロス戦争で北と南に分かれて支配するなど関係は良くありません。そういう関係のトルコを経由してギリシャにエネルギーを支援する案を受け入れるならば、ツィプラス氏は歴史的に大バカだということになるでしょう。「窮鼠猫を噛む」とも言うので可能性はないわけではありませんが、そのような援助は実現しないでしょう。
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