OPEC発行のOil Market Report10月号によれば、2016年の世界の原油需要は日量9,440万バレル、非OPECからの生産量は日量6,259万バレルで、差し引きOPECに必要な生産量は、日量3,181万バレル、しかし、OPECの9月の実際の生産量は、日量3,339万バレルなので、日量158万バレルの供給過剰状態となっている。
来年の需給は少し改善すると予想しているが、米国の石油稼働リグ数は増加しており、まだ米国の生産増は見えていないとはいえ、以前予想されたより多い生産を行う可能性が高い。
2016年第2四半期末の世界の原油在庫は45億7千万バレルあり、消費量の100日分と、潤沢な在庫がある。今後需要が増加すると見込まれる地域は中国とインドであるが、中国では国有石油企業以外に、ティーポットと呼ばれる地方政府管轄の中小石油精製設備が輸入権を獲得し、9月は米国を抜いて世界一の原油輸入国となった。
しかし、ティーポットが乱脈に生産するガソリンと軽油は中国国内需要量を超えており、東南アジアや欧州に輸出されてそれらの地域の市場の安売り競争を呼んでいる。鉄鋼産業同様、中国の石油産業も過剰設備、過剰生産の状態となっている。
従って、原油価格は50ドルを超えてきたが、論理的にはこれ以上価格が上がる要因は少なく、せいぜい60ドルであろうと思われ、下限は40ドルまで下がる可能性は十分あると思われる。
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